「ホームブルーに挑戦したけど味がいまいちだったな…」
「ビール造りの幅をひろげたい」
「もっとおいしいビールを造りたい!」
世界に通用するビールのつくりかた大事典はそんな方にぴったりな1冊です。
著者はジェームズ・モートンさん(Instagram:@bakingjames Twitter: @bakingjames)
イギリスではパン焼き職人としても本を出版。
『Brilliant Bread (パンはすごい)』
『How Baking Works(パン焼きの科学)』
そして彼はドクターでもあります。
ビール醸造の腕もピカイチでインディペンデントブリューワーズソサエティの金メダルを含む自家醸造賞を受賞し、全英自家醸造賞で総合2位を獲得しています。
厚さが約3cmもあり254ページの大作ですが、導かれるようにスラスラ読み進めることができます。
ホームブルワーの、
- 心構え
- 守るべき必須ルール
- よりすばらしいビールをつくる方法
これらをメモしていきます。
まずは心構え
- 革新的なビールをつくりたいだろうけど革新を成功させる近道は、これまでの道のりを尊重するところから始まるはず!
(つねに新たな挑戦を続ける人こそが結果的にいち早く新たな発見をするもの。
でも、それまでひどいビールを消費者にのませるの?
あるいは、ほんとうにすばらしいビールを見いだす前に、廃業に追い込まれる醸造所もあるよ) - だからビールになにか(グレープフルーツとかレモンとか)を加える前に、信用できるレシピを参考にして自分なりに完璧なビールを確実につくれるようにしよう!
- レシピを変えるなら変える要素は一度に1つ!
- 何かを加えるならそれも1つ!
ホームブルーの心構えはなかなか教われませんので。
参考になります!
守って欲しい必須ルール
パン職人でもある著者。
醸造に共通する大切なルールをざっくりまとめました。
細かい技術的な事は本書にしっかり書いてあります!
- 清潔第一・殺菌第一
普段使っている食器と同じ清潔さではなく徹底的に!
- ビールの扱いは子育てとは違う
過剰に心配しない。発酵しているときはかなり汚い見た目になるがあわてない。
この本にも8章の「困ったときはこちらへ」でちゃんとセーフティーネットがあります。
失敗したことも1つのデータです。
部分的には成功してると開き直り次に活かしましょう!
- 発酵がすべて
酵母は正確な量と最適な温度を守ろう!
他の工程が完璧でも発酵を間違えたらひどいビールに‥6章と7章を読み込み酵母への理解を深めましょう。
- 我慢が大事
どの工程もすべて、時間を少し長めにかけるのが上策!
- 飲んだ人の感想を知ろう
友人でもいいけど気を使ってみんな褒めてくれるかもしれないので、自家製ビールをつくる、そんな仲間をみつける!
ん〜日本では難しそう。
でも客観的な評価や、人が造った自家製ビールも味わうことが出来るのでこれが一番大切っぽい。
賢い方法で間違いなく、よりすばらしいビールを造る方法
- つくりたいビールがどんなスタイルにあてはまるか考えてみる
- 信用できるレシピを参考に計画を始める
- 自分が選んだ風味には「どのホップが合うか?」
「どんなモルトを加えるか?」
「砂糖を加えて辛口で飲みやすいビールに仕上げるのか?」
などを検討。 - 複数の容器に分ける。
例えば柑橘系のペールエールであれば、柑橘類の皮や果汁を量を変えて加えてビールがどんな影響を受けるか確かめる - 飲み比べて原材料がビールにどんな効果をもたらすのかが分かるようになる
- 好きな風味の組み合わせが分かったら更に詳しく調べ改善策を確かめる(苦すぎるならホップを減らすとか、味が薄いなら小麦かオーツ麦を加えるとか)
- 研究に終わりはない
確かに同じ原料で複数容器を使えば、酵母を変えたりドライホッピングしてみたり飲み比べもできて、実験できることが多くて楽しそうです。
そんなわけでこの本は150ページ程ビールの造り方やモルトや酵母などについて解説をしてくれています。
写真が極端に多いタイプの本ではないのですが教科書じみた分かりづらさや堅苦しさはありません!
ビールに詳しい近所の優しくて人気者のお兄さんに醸造を教わりに遊びに行ってるかのように読めます。
そしてレシピの解説も約90ページにわたります
- ブリティッシュエール、アイリッシュエールを11種
- アメリカのビールを9種
- ヨーロッパのエールビールを9種
- スペシャリティビール(カテゴリー外)を6種
- 上級編としてサワービールとラガービールを9種
レシピごとにビールの解説、初期比重や最終比重も書かれています!
海外の最新ホームブルーイング事情が伝わってきて異文化を体感出来ます。
変な話ですが本に対して、「今日も遊びに行こうかな〜♪」みたいな気持ちで読めたのは初めてです。
とっても楽しい本でしたよ!
様々なビールを造りたい方、よんでおいて損は無いはずです。
補足
【個人的なメモ、大切だと感じた一文】
伝統的な製法を尊重し、伝統がそのように進化してきた背景には、もっともな理由があるということを理解してください。
2017年 株式会社エクスナレッジ 著 ジェームズ・モートン 世界に通用するビールのつくりかた大辞典 200Pより引用
いっぽうで、いまではもはや通用しない理由に基づいた製法も少なくないという事実も肝に銘じておきましょう。
どうもビール醸造には、どこか信仰めいた部分がつきものです。
コメントを残す